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遠い昔の思い出
12P
しおりを挟む「残念だなぁ、本当に綺麗なのに。素直に認めればいいのに」
「あんたに言われても、嬉しくもなんともない。それに…………いや、何でもない」
怖かった。酒呑童子なら本当に、俺の目に指を突き刺して抉り出して飾ってしまいそうだった。この男なら容易に想像できる。
不自然に言葉を止めた俺に「ん?」と首をかしげるが、何を思ったのか。いきなり「可愛いな」なんて言って俺の頭をガシガシ撫でまわしやがった。
あまりにも乱暴で、しかも可愛いなんてふざけたセリフに「俺は男だっ!!」と憤慨して手を払いのけてやったら。さらに大笑いされた。
これが、俺が酒呑童子と出会った最初の日のこと。それから俺はずっと自分の家に引きこもる生活が続いたが、3日に1回くらいは彼が押しかけてきた。
暇だから相手をしろ、とか。今日は勉強を教えてやるよ、とか。何かと理由をつけてやってきては、俺が寝ているところを叩き起こす。
あの小娘もそうだが、なぜいつもいつも俺は眠りを邪魔されねばならんのだ。しかも暴力で。
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