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気配
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しおりを挟む「コホッコホッ……あんたは、ずっとここにいたの?」
「通信ができる和比呂がお前と同じ教室にいるようだったからな。そうでなくとも、何かあればその札を使って1度だけだがそっちに瞬間移動できるのだ。なんだ、寂しかったのか?」
「馬鹿言いなさいよ。仮にも鬼のあんたがそんな陰陽師じみたことができるなんて思ってもなかったんだから、あんたを心配してやったのよ」
そうか、寂しかったんだな。少しは素直になればいいものを。小娘は強がりの意地っ張りだ。
誰にも迷惑をかけないように、1人で死の恐怖に怯えながら。自分だけではどうにもならない、手遅れになるギリギリまで我慢してしまう。だからまだ、俺達に隠していることがあるんだろう?
それが何かはまだわからないが、よくないことであるのは確かだな。まぁそれも追々、わかることだろう。
「旦那旦那、僕は今日友達に学校のことをたくさん教えてもらったんじゃ!」
「そうかそうか、それはよかったな」
「棒読みっ!?酷いのじゃ、せっかく帰ったら旦那に何を話そうか考えて楽しみにしていたのにー」
むくれるキツネの頬をつまみ、ガラス玉のような赤い目をまっすぐ見つめて俺は冷たく言い放った。
「あと3日だ、忘れるなよ」
「っ!!わ、わかってるんじゃ……」
キツネの肩がビクリと跳ね、赤い瞳が揺れた。我ながら酷いことを言ったという自覚はある。わざとだ。キツネが狐に戻ってこれなくならぬよう、釘を刺す。
長い時間人間の姿で、人間として過ごしていれば己が狐であることさえも忘れてしまう。酷いことを言ってでも、たまに狐の姿に戻してやったりしないとな。これもこいつの飼い主の責任だ。
小娘に睨まれた。ん、また咳き込んでいる。風邪か?俺の視線に気づくと背を向ける。
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