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朝霧神那、襲来
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しおりを挟む「お、お、お、女……しかも、にっ人間じゃろ……?」
瞬きを1回、俺の背後からヒョコッと顔を出したのは、俺と体格が違いすぎて隠れきれていない、無駄にガタイの良い人間の少年。
顔は真っ青。体全体をガタガタ震わせ、しがみついているから俺まで振動が伝わってくる。あぁもう、鬱陶しいから離れろ。
「こいつは白い妖孤のキツネ。いつも人間に化けて保存のきく食料なんかを町から持ってきてくれる、便利なやつだ。体はデカイが、小娘より1つか2つは年下だと思うぞ?」
「キ、キツネって名前だったのね……でも、すごい大人っぽい」
彼女より年下といっても妖孤で17、6歳は十分な大人だ。まぁ、キツネの場合、中身はまだまだまるっきり子供なんだけどな。
見た目は大人で中身は子供。人間は大好きなくせに人間の女が大の苦手な、ヘンテコ妖孤。男が趣味というわけでもないらしいが。
俺専用の使いっぱしり。というか下僕。こいつは望んで、俺に絶対服従しているんだよ。
「意味がわからないよ。何で、人間の女がここにいるんじゃ?何で、人間嫌いの旦那が親しそうに――ギャァァッ、近寄るなぁッ!!」
「うるさい!耳元で急に叫ぶな!毛皮にされたいのかっ!?」
「ご、ごめんよ旦那。悪気はなかったんじゃ……だから毛皮はやめてっ」
手入れが行き届いたモフモフの尻尾が残っていたのか、触りたくて我慢できなかったらしい。彼女の手が伸びてくると、身の危険を感じたキツネは絶叫したのちに一気に部屋の隅まで跳び逃げた。
さすがに鬼の俺でも、耳元であんな大絶叫をされては驚くし、耳がキーンと壊れてしまったかと思った。
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