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朝霧神那、襲来
6P
しおりを挟む――4日目。彼女の腹の音も全く聞こえなくなった。普通の人間なら、生きるために体が勝手に食料を求めに動き出してもおかしくはない。
この小娘、普通の人間じゃないのか?それとも、そうまでして俺に守護神になってもらいたいと本気で思っているのか。いずれにしても、こんな小娘は初めてだな。
「ふ、っ……」
あと4時間で5日目に突入すると思った矢先、背後でバタンッと音がした。
「参ったな。これほどまでとは……」
さすがに布団をはねのけて振り返ると、彼女は何かを握りしめたまま倒れていた。これは、写真か?
2枚あるうち、1枚は家族で撮った集合写真らしい。大きな家を背景に彼女と彼女の両親らしき男女、それから姉らしき女性も写っていて、皆満面の笑みを浮かべていた。
もう1枚の写真に写っているのは、彼女と誰かとのツーショット。同い年くらいの若い男と一緒に、背景が遊園地ということは、さしずめ彼氏か。
「はぁ、仕方ないな……」
写真を握らせたまま彼女を抱き上げると、ついさっきまで俺が寝ていた薄い布団の上にそっと寝かせる。
それから大きな瓶から水を汲み、戸棚から笹の葉の包みを2つ取り出すと彼女の元へと戻って彼女の頬をペチペチと軽く叩いた。
「起きろ。俺の負けだ、認める。だから飲んで食え」
俺の呼びかけにうっすら目を開けた彼女はかろうじて意識を手放してはいないようだが、すっかり衰弱しきっている。
4日間も飲まず食わずで痩せた。開いてはいても、目はハッキリ見えていないのだろう。耳は聞こえているようだが。
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