花喰みアソラ

那月

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ツンツントゲトゲ

13P

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 前に言ったのよ、あたし。「飽きちゃっても、何か1つでも好きなところを見つければ大好きになるわ」って。


 おまじない。彼女はあたしの言葉を信じて、1度は飽きちゃったものもまた好きになれたって喜んでいたわ。


 その、あたしのおまじないも今回はだめだった。水のやりすぎかと思ったら炭酸ジュースをこぼしちゃったのね。それでサボ君が弱っちゃったから、どうしようって不安になってあたしを頼りに来た。


 それが本音でしょう?でもごめんね。大切なサボ君を花妖なんかにさせちゃって。もう助けようがないかもしれない。せっかくナライちゃんがちゃんと向き合って助けようとしてくれたのに。


 きっとまた好きになれる。あたしはアソラさんを信じているから。きっと、きっとサボ君を元に戻せられるって信じているから。


「アソラさんは植物が大好きなの。変態って言っても喜ぶくらい。とっても優しくて、だから、最後の最後まで諦めないで戦うの」


「ボロボロだけどぉ。サボ、あんな怖い格好になって。でも…………泣いてる。聞こえる、サボがあの中でワンワン泣いてるのぉ」


 顔を上げたナライちゃんにつられて、あたしもアソラさんとサボ君に目を向ける。


 さすが最弱、もうフラフラじゃない。今回も全く勝てる気がしないわ。信じてるけど。アソラさんも焦ってる、サボ君の力が衰えないから。


 大雨のような大量の小玉爆弾を降らせているサボ君を見つめるナライちゃんが、あたしの手をギュッと握る。


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