花喰みアソラ

那月

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本日は閉店なり

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「やぁお嬢さん、今日は珍しくお供を連れてんだなお坊ちゃん、そいつはうちで飼ってるハリオだ。非売品だが、看板娘ならぬ看板ハリセンボンだぜ」


「ハリオ?ハリー君じゃないんだ。可愛いなぁ」


「わけあって従業員兼居候中のアソラさんです。今日もハリー君、いいですかっ?」


 店主が早速アソラさんに反応。アソラさんはハリセンボンのハリオ君がハリー君だと思ったみたいだけど、惜しいわね。


 店主が「どうぞー」と微笑んでくれたから、買い物は後回しでハリオ君にベッタリのアソラさんを引っ張る。


 店の奥が自宅に繋がっているの。この商店街、うちみたいに1階が店で奥と2階3階がそれぞれの自宅になってるから。


 あたしが大好きなハリー君はこの魚屋さんにいるの。奥のダイニングテーブルの上、小動物用のかごの中に!


「こんにちは、お姉さん。あ、ハリー君起きてる!今日も可愛いわねーっ」


「ハリーもわかるのかしらね、ミサキちゃんが来るちょっと前に起きてソワソワしてたのよ?はい、どうぞ」


 奥には店主の奥さんがいて、かごからハリー君を出すとあたしの手に乗せてくれたわ。モゾモゾキョロキョロ、あぁ可愛いっ!


 テンションマックス、デレデレでオーラ出しまくりでアソラさんが引いているのなんて気にしないんだから。


 店主のことは「お兄さん」で奥さんを「お姉さん」って呼んでるの。だってお姉さん、見た目的にも若いしまだ38歳であたしと歳が近いんだし。


 なにより、初めて会った時に「おばさん」って言いかけたらとても恐ろしい般若顔に「お姉さんよね?」って書いてあって無言の圧がすごかったのよ。うぅ、今でも思い出すと震えるわ。


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