花喰みアソラ

那月

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本日は閉店なり

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 金額を設定して好きなのを選んでもらったら安く済んだわ。気を使わなくても良かったのに。早く選んでくれたから、次の店へ。


 お肉屋さんに行って特売の鶏肉とミンチを。見慣れないアソラさんの姿に「優しそうな旦那様だね」って、店主の奥さん。


 店主と店主のご両親まで店の奥から出てきてアソラさんを品定め。ち、違うから!わけあって店を手伝ってもらってる居候だって説明するけど、皆してニヤニヤ。


 あーもう、顔が熱い。花喰みや花妖のことは言わない方がいいわよね。


 お肉屋さんの一家は噂とか色恋話が大好きなの。あたしがずっと、彼氏いない歴イコール年齢を更新し続けていることを知っているから。


 次の八百屋さんでは果物と野菜を買いそろえて、おまけだって多めに入れてもらった。いつもそうなんだけど、1人だと食べきれなくて腐らせちゃうからアソラさんがいて良かったわ。


 もちろん、何が何でも食べさせるからよ。食べられるようになるまでに食材がもてばいいんだけど。


 で、八百屋のおばあちゃんもアソラさんを物珍しそうに見ていたわね。「あの子はミサキちゃんの――」「居候です」って、言わせないわ。


 アソラさんがクスクス笑ってて、余計に顔が熱い。リンゴ、もう1個おまけしてくれたわ。だから、そんなに食べられないんだってば。


 冷凍のパイシートでも買ってアップルパイでも作ろうかしら?なんて考えながら最後の魚屋さんへ。


「これって、フグ……あ、ハリセンボン?食用じゃないよね。なんで魚屋に?もしかして、飼ってる?」


 入ってすぐの水槽に丸々太ったハリセンボンが1匹、優雅に泳いでいるの。アソラさんが飛びついていっちゃった。そんなに珍しい?


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