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綺麗な花にはトゲがある
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しおりを挟む「えっ……?だっだめよ、そんなの。あなたを傷つけたくないから、できない」
「ばーか、そんな簡単に傷つくかよ。そりゃあ、嫌だ嫌だって散々暴れられて蹴られた時はカチンと来たけどさ、その理由を知った今、僕はまだアイ――カインのことが好きなんだ」
ディールさんが、笑っているわ。
「今までのアイは女だったけどさ、女のお前も本当のお前も全部カインなんだ。僕のために女になりきって愛してくれる人は他にはいないって思ってる」
「っ、ディールさん……でも私、っ」
「まだ言葉が足りないか?そうだな。もう隠さなくていい。俺が好きなのは、愛しているのは女だとか関係なくカインだ。僕は、愛する人の全てを受け入れたい」
カインさんが泣き崩れた。と同時に花妖が「なん、だとっ!?」と声を上げた。
2人を拘束していたツルと枝がほどけ、あたしを庇ったアソラさんの肩に突き刺さっている太い枝がヘニャリとしおれちゃったわ。
そっか、花妖の力の源はアソラさんの力と、カインさんの強い彼への想い。彼に拒絶されねじ曲がってしまった想い、絶望が希望に変わったから花妖は力を失ったのね。
体に巻き付いていたツルをほどいたディールさんは駆け出し、倒れてぐったりしているカインさんを抱き起こす。
「わた、し………………俺でも、いいの?ヒールじゃなくてスニーカーで、スカートじゃなくてズボンで、ブラウスじゃなくてパーカーでもいいの?もう、俺を偽らなくてもいいの?」
「あぁ、お前が好きな格好でいいさ。つかお前、地声でもそんなに高いんだな。次のデートはありのままのカインと、ありのままの僕で新居の下見に行こう」
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