花喰みアソラ

那月

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綺麗な花にはトゲがある

9P

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「男だもんねぇ、カイン君?ディールと会う時はいつも女装して、嫌われないように必死で隠していたよねぇ。高額な女性ホルモンの注射まで打ってさぁ?」


 打ち明けることを選んだ彼女が彼の手をつかんだその瞬間、彼女の腕の中から落ちた赤いバラの切り花から緑色のツルが飛び出した。


 2人に巻き付いて、いくつもある鋭いトゲが突き刺さって2人の口から悲鳴。


 赤いバラの切り花が彼女の強すぎる想いに反応して花妖化、ホストみたいな若い男に変身した。真っ赤な髪、真っ赤な瞳は2人から流れる血みたい。


 昨日の今日でまた花妖化するなんて、どんだけアソラさんの力が強いのよ。なんて呆れたけど、赤いバラの花妖の口から飛び出した言葉に頭がフリーズ。


 今、彼女のアイさんが男だって言った?彼のそばにいるために自分を偽って、女らしくあるためにホルモン注射って。というか、カインって……


「なん、だよこれ……つかお前が男って、カインって本当なのか?アイは偽名なのかよ?」


「うん。初めて会った時、私、女装コスプレさせられてて。うあっ!いっ痛い、痛い、よ……ごめんなさい。でも、ディールさんに嫌われたくなくてっ」


「こいつはカマってわけじゃないぜぇ?純粋にカインとしてお前を好きになった、それが同性だったってだけでさぁ。よく1か月ももったよなぁ?」


「悪いのは全部私なの。だからお願い、ディールさんを離して!私はどうなってもいいから。ぎっ、あぁぁっ!!」


「アイっ!くそっ、もう何もかもが無茶苦茶だ!離せぇッ!!」


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