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綺麗な花にはトゲがある
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しおりを挟む「どうしても、今はだめなの。とっさにアノ日だからって嘘をついちゃったけどそれも見抜かれて、僕とは遊びなんだなって怒らせちゃった」
「嘘を見抜かれたのは、彼が心からあなたを愛しているからですよ。きっと彼も今頃、言い過ぎたって反省していると思うわ」
あたしはまだ恋愛経験がないけど、彼女が彼と付き合って幸せなんだってすごく伝わってくる。
たった1日、遠くから彼を見て忘れられないほどの一目惚れをしてしまうなんて。彼のことは見た目と何となくの性格しかわからないのに、強烈に心惹かれた。
一生懸命パンを作っている彼の姿が格好いいとか、最初のデートの時はお互いに緊張でぎこちなくて会話もほとんどできなかったんだとか。
実は同じ誕生日で生まれた病院まで同じだとか。毎日夜には長電話をして、彼から同棲の話もされちゃったって嬉しそうに。次の瞬間には辛そうに唇を噛んだ。
「忘れられなくて、ストーキングしてしまうほど好き。変態だって言われても構わない。でも私は、彼に大きな嘘をついているのよ。彼のそばにいたいから私、彼にも自分にも嘘を吐いて」
「決まったわ。あなたにピッタリの、仲直りのお花。真っ赤なバラにしましょう。花言葉は“熱烈な恋”。まだ1本だけ残ってるから、綺麗にラッピングしますね」
どこかの誰かさんが食べちゃったから、赤いバラの切り花は1本だけだしサービス!彼女が彼と上手くいきますように!
ピンクのセロハンに赤いリボンがいいかしら、なんて考えながら赤いバラの切り花を手に彼女の元へ。
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