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大好きなんです
4P
しおりを挟むお客様がケガをしないように、1つずつ丁寧に棘を取ってある最近入荷した赤いバラ。彼はそれを、1つの花をパクッと一口で食べちゃった!?
食用のバラでも独特の香りが強すぎてあんまり美味しくないのに、ただの切り花のバラですよ!?なのに彼は数回咀嚼しただけで飲み込んで、すぐにまた二口目をパクッ。
開いた口が塞がりません。この人、マジでバラを食べちゃってる。葉や茎も途中まで。美味しそうに笑みを浮かべながら。何なのコレ、信じらんない。
赤いバラを3つ、黄色いバラを2つ。それから白と紫の桔梗を2つずつ食べて、あたしはやっと我に返ったわ。
「も、もうやめてくださいっ!それ、売り物です!」
いや、売りものとかいう問題じゃないでしょ。って自分にツッコミ。また赤いバラに伸ばそうとした彼の手をつかんで、下がらせる。
目が合った。キョトンとしていて、黒縁眼鏡がちょっとずり落ちた。今のあたし、どんな顔をしてるんだろう?
「あ……その、食べちゃったお花、せめて半額は払ってください。もう半額は、倒れちゃうほどお腹を空かせていたようなので寄付です」
「ごめん。俺、花のことになると抑えがきかなくて無意識に。いくらになる?えーと1730円?じゃあ、怖がらせてしまったし2000円で…………あれ、財布がない」
申し訳なさそうにペコッと頭を下げた彼はポケットに手を突っ込みゴゾゴゾ。財布がないと全部のポケットを探しているけど、これは何も持ってなさそうね。
やがて彼はチラッとあたしに目を向けて、冷汗を浮かべて、土下座。
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