恋人以上、永遠の主人

終末の先の景色

３P

　アキラさん達鬼死団は今年いっぱいで解散するんだって。元凶だった羅刹が大人しくなって鬼がいなくなったから。


　代わりに、警察のように治安を管理する独立部隊を作るんだって。メンバーはほとんど今と同じになるんだろうけど、彼らが今度相手をするのは鬼ではなく人間。


　戦って力で解決することじゃない。鬼死団で鍛えてきた、学んだことが通用しなくなる。


　それでもアキラさんは「やってみるさ」と、隣のお兄ちゃんの肩に手を置いた。お兄ちゃんは「僕は嫌だよ」と一言。


　鬼死団の副団長だってなりたくてなったわけじゃない。いくら幼なじみとはいえ、今度こそは自由になってやるんだと肩に乗せられたアキラさんの手を下ろそうとする。


　ま、無理でしょ。アキラさんは笑っているの。背景に「ゴゴゴゴゴゴ」って書かれそうな黒い笑みを浮かべて肩をわしづかみにしているから、顔に「最後まで付き合え」って書いちゃってるから。


　諦めて、お兄ちゃん。今回のことに懲りてナンパをやめて、少しは真面目に人助けをしてみなさい。


　話がそれちゃったわね。羅刹が言った「次がない」というセリフ。あたしとマクベスのことでしょうね。


　どうやらあたしとマクベスにはちゃんと“終”が来たみたい。胸元にある“永久の鬼追い”の印が、消え始めているの。


　そして、あたし達の体も少しずつ薄くなってきている。じんわり消えるのね。なんだか寂しいなぁ。


　でも、あたし達は消えるのにラスボスだった羅刹は消滅しないでこの先もずっと生き続けるのね。神様だから？変なの。正直、羨ましいけど。