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羅刹とカレス
8P
しおりを挟むもしかしたら羅刹はこの時をずっと待っていたのかもしれない。そう思ってしまうほどに、彼はカレスにしがみついている。
「もうどこにもいかないでくれ。暗闇は嫌なんだ……君の温かい光で、ワタシを照らして温めてくれよ……」
「はい、もちろんです。あぁ、やっと帰れる…………さぁ、俺を受け入れてください。そしてこの目でちゃんと見てください」
あたしは銃をしまった。戦うべき敵はもういない。アキラさん達も皆、武器を下ろして2人を見つめる。
抱きしめ合う2人の体が淡く光を帯びて、どんどん光が強くなっていく。ゆっくり2人を包んでいき、完全に見えない。
誰もが皆口を閉ざし見守っている。目の前にまで迫ってきている“終”に、あたしとマクベスの胸が高鳴る。
ここまできて「やっぱり気が変わったァ」なんて言ったら、あたしのビンタが炸裂するわよ。
悪鬼羅刹なら言い出しかねない。気が変わって無防備なカレスを殺しにかかるなんてことも十分にあり得るんだから、最後まで気が抜けない。
真っ先に狙われるカレスだけど、彼も本来の力を記憶と共に取り戻している。悪鬼羅刹に抗う力がある、と信じているわ。代わりにビンタしてもいいわよ、褒めてあげる。
「カレス……羅刹……」
光の塊の中の気配が変わっていくのがわかる。羅刹がカレスを受け入れたのね。
ふと、倒れないよう支えているマクベスがもたれかかってきた。今まではケガをしてもすぐに治っていたから、時間がかかって辛いんだわ。
背が高くて体も大きいから重たいけれど、我慢我慢。しっかりしなさいの意味も込めて握っている手にギュッと力を込めた。
マクベスが今の心境を小さく吐き出したのと、光の塊がシュンッと消えたのは同時。
「疲れたよ」
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