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変身
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しおりを挟む「俺も連れてってください、おじょ……ナツメさん。俺が、終わらせますから」
何だか変な感じ。ずっとマクベスの手しか知らなかったあたしの手を、カレスがつかんでいる。青緑色の瞳に、困惑顔のあたしが映った。
カレスは「連れて行ってくれるだけでいいんです」と言うだけであたしの手を離してくれない。全然力を入れている感じなんてしないのに、振り払おうとしてもびくともしない。
誰よりも1番死なせてはいけないカレスを連れて行くなんて、悪い意味で全てが終わってしまうわ。
それは本人がよくわかっているはず。それでも引き下がらないのは、そうまでしてでもやらなければならないことがあるから。
カレスにしかできないこと。死ぬ覚悟で突っ込む、チャンスはたった1度だけ。行けるの?
どんな作戦があるのかはわからない。でも聞かない。彼は彼の役目を全うしようとしているって伝わってきたから。その、本物の瞳を見たらわかる。
だからあたしはカレスの手を引っ張った。思いっきり引っ張って、一緒に飛び降りた。
ものの数秒で地面、というかドラゴンの背中が迫ってきてあたし達はドラゴンの左翼の上に落下。ワンバウンドして地面に足をつけ転がる。
「羅刹!俺の目を見ろッ!!」
戦闘の経験なんて全くないはずのカレスは呻きながらも無我夢中で立ち上がり、叫んだ。
カレスは羅刹の一部。唯一の良心だからとても優しく、治癒系の魔法が使える。だけじゃないって気づいたんだって。
目を合わせば力が引き合い、不意を突いて元に戻れるかもしれない、落下しながらそう言っていたわ。
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