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悪鬼羅刹
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しおりを挟む「俺……人間ですらなかったんだなぁ……」
「カレス、羅刹は君を殺すためにここに来たんだ。本能がよみがえってきて辛いだろうけど、君が安全に正しく戻れるように俺達が戦うから。それまで待っていてよ」
羅刹の瞳として本体に帰るという本能を思い出し、自然と前に出てしまうカレスの肩を引き下がらせるマクベス。
無意識だったみたい。力なく笑いそう呟いた彼は大人しく、じいじとラファルガ君の元へと下がっていった。
下がる前に教えてくれた。カレス――瞳はイギリスの戦争で離れ離れになってしまったんだって。
マクベスがイギリスの騎士をしていた時よ。国民のドラゴン化と隣国との戦争に巻き込まれた羅刹は大きな爆弾により体がバラバラになった。
けれど神だから羅刹の体は時間をかけて元に戻っていく。その途中でドラゴン化したマクベスに目が引っかかり、一緒に時空を超えてやってきた。
晴明様の元へ来る途中で落ちてしまった瞳は長い長い眠りにつき、本体に戻るという強い想いによって人間の体を形成していった。
そのうちに羅刹がやってきて、あの7年前の百鬼夜行にいたるというわけ。偶然に偶然が重なって、さらに偶然が起こった結果なのよ。
「あァーあァー、ナツメとマクベスには絶対殺せないって思ってあの2人を置いてきたのにィ。まっさかあの子が裏切るなんてねェ。しィかァもォ?過去の亡霊なんかと手を組みやがってェ……」
「あの子は強い子よ。あんたの思い通りになんてならないわ」
「俺達がさせない。今日、今ここで全てを終わらせる!友を、家族を、鬼に奪われないで済む未来を…………覚悟しろ、羅刹」
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