恋人以上、永遠の主人

悪鬼羅刹

２P

「きゃあっ！？い、いきなり跳びすぎよっ」


「悲鳴が聞こえた！羅刹と戦っているのはあの子だ、今の彼はすぐにやられてしまう！」


　あたしには聞こえなかった彼の悲鳴が、マクベスには聞こえたっていうの？相変わらず響く下からの轟音しか聞こえないのに。やっぱりマクベスは特別なんだわ。


　突然強く床を蹴って跳ぶように走りだしたマクベスは一気に階段を駆け上がり、屋上へと続く重い扉をバンッ！と開け放った。


　あまりに早くて、あまりに力強くて鬼斬り丸状態のあたしは振り落とされるかと思ったわ。ま、彼に限ってないでしょうけど。


　マクベスは扉を力づくで開けた勢いのまま飛び出し、ちょうど良いタイミングだったみたい。彼の前に滑り込んで羅刹の攻撃を受け止めた。


「その状態でよく頑張ってくれたね。さすがだ、ありがとう。ここからは俺達が引き受けるから君は下がって、もう少しだけ彼らを守っていてくれるか？」


「ま、マクベスさんとナツメさん……」


「じいじ、すぐに治癒をッ！あなたがいなかったら今頃、彼が羅刹に殺されて世界は破滅へのカウントダウンを数えていたわ。ありがとう、ラファルガ君」


　屋上にいたのは４人。まずは片腕を失って入院中のラファルガ君。残っている手に鉤爪をはめて、懸命に戦ってくれていた。


　あたし達が来ると信じて時間稼ぎをしてくれていた。じいじと彼を守ってくれていた。


　２人目がじいじこと、医療班の班長。あたし達の登場に安心して一気に力が抜け倒れてしまったラファルガ君にすぐさま治癒の魔法をかけてくれている。