恋人以上、永遠の主人

那月

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酒吞童子と茨木童子

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 でもね、今のあたしは違うのよ。マクベスだって同じことを考えている。だから彼は鬼斬り丸を手に床を蹴った。


 1度折れてしまったけど、あたしが無理矢理腕をくっつけたから何とか元の形には直ってる。


 とはいえ所々刃こぼれしちゃってるし、耐久力も下がっているはず。今度折られたらさすがにすぐには戻せないわよ。


 マクベスはまっすぐ駆け、振り上げた鬼斬り丸を酒吞童子めがけ振り下ろす。


 そうはさせまいと茨木童子が滑り込んでくることはわかっていたので、マクベスは振り下ろさずにシュンッと姿を消す。


 晴明様に教わった瞬身の術、モドキ。完成させることはできなかったけど、一瞬でも茨木童子の目にも追えないほど速く走る術を習得したの。


 酒呑童子から倒すと見せかけて、マクベスは茨木童子の頭上に姿を現しその白い角をつかみ、着地しながら強く一気に引っ張る。


 背負い投げの要領で背後に引っ張られた茨木童子は頭から床に激突、しかし手を突いて逆さまの状態でマクベスの顎を蹴った。


 そこへ振り返った酒呑童子が襲いかかってくる。とっさに茨木童子から手を放し鬼斬り丸を向けると、彼は一切怯むことなく手を突っ込む。


 恐れも痛みも感じないの!?酒呑童子の大きくごつい鬼の手は、鬼斬り丸に手の平を刺し貫かれながらもなお突き進んでくる。


 刀身はあたしの体だから、肉を斬る感触が直に伝わってくる。ズブズブズブズブッと進む手はやがて鍔の所で止まり、ガシッとマクベスの手をつかんだ。


 鬼斬り丸の刀身を血で染め、傷口から赤黒い血をボタボタ流す酒呑童子は無表情。


 抉り出された左目の空洞にはおぞましいほどの闇が詰まっている。真っ黒い、暗い暗い憎悪に満ちた闇。


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