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開戦再び
10P
しおりを挟む遠くからそんな声が聞こえたかと思えば次の瞬間、あたし達のすぐ横をいくつもの弾丸が通り過ぎていった。
駆け回っていた虎鬼3体、民家の窓を叩き割っていた餓鬼2体、それから戦鬼の影から上半身を出していた餓鬼3体が、バタバタと倒れた。
振り向かなくてもわかる。このとんでもなく命中率の高い凄腕のスナイパーはティンさん。どこか高いところからの援護射撃ね。
それから、さっきの可愛らしくも頼もしい声。アキラさんに呼ばれて鬼死団員を引き連れてきてくれたリリちゃん。
「リリ、お前達はできるだけザコを引き連れて戦鬼から離れろ!ティンは近距離はいい、遠くから全体の援護だけを頼む!」
「「御意!」」
「セイ、マクベスさん、まずはあの金棒を落とす!セイは距離を空けて魔法の援護を頼むぞ!マクベスさんは俺と一緒に大立ち回りを!」
すごいわ。実は特に作戦もないのに、現場を見て考えながらアキラさんは次々と指示を飛ばしている。飛ばしながらも駆け回り、ザコを叩き潰しつつも戦鬼の足元を走る。
どう倒せばいいのか必死に考えているんでしょうね。戦うのはこれで2度目だから。失敗は許されない。もう、2度と大切な人を失わないように。
でも。戦鬼だってそう簡単にやられてくれるような優しい鬼なんかじゃない。
身の丈10メートルはゆうに超える戦鬼にとってあたし達は命を脅かす敵ではなく、鬱陶しいハエ同様。唸り声をあげて足を踏み鳴らす。
測定不可能な震度の大地震。地面は波打ち大きく隆起し、大きく長く割れていく。建物が傾き、倒壊し、逃げ遅れた人達はそのまま建物の中で……
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