恋人以上、永遠の主人

那月

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ハーメルンのホラ吹き

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 誰がどう見ても便利で従順な道具としか思われてないでしょ。あぁ、あとは女好きの彼なら毎晩のお供とか?昔の酒呑童子はそこまで冷たくはなかった。


 むしろ暑苦しいくらいの、熱血お兄さんタイプ。対照的な茨木童子が静かで冷たく冷静でツッコミ役だったわ。


 ミチカさんは「それでもいいの。あちきが勝手に好きだってくっついてるだけだから」って苦笑しているけど。本心では寂しいんでしょう?


 好きな人に構ってほしい、ずっとそばにいてほしい、甘い言葉を囁いてほしい、触れてほしい。そう思うのが普通でしょ。


 だって彼女、少し唇を噛んで悔しそうだもの。同じ女だからわかるわ。どんなにエロい逆ナンパ師でも、そういう女心は同じはずよ。


 そう思って声をかけようと口を開いた瞬間、背筋が凍った。な、何、この嫌な感覚!?


「その女、煮るなり焼くなり好きにしていいぜ。知られて困るようなことは吹き込んじゃいねぇし、この場所さえあれば弱い人間の女なんてどうでもいいしな」


「まさかここまで来ているとは。生きて帰れると思うな……え、なっちょっと待て、逃がすだと!?」


「邪魔で鬱陶しい女を連れて行ってくれるなら一石二鳥だ。それにこいつらはまだ生かしておけって言われてるだろうが。あ、お前ら、不法侵入土産に美味い酒は持ってねぇのか?この俺様に会いに来たんだろ?」


 いつの間にかあたし達の背後、マクベスが壊したドアの所に2人の男が立っていた。とっさにティンさんが身構えるけど、到底かなわないわ。


 姿も声も、何もかもが昔のまま変わってない。人間の青年の姿をした鬼、酒吞童子と茨木童子。


 姿や声は似せることはできても、鬼独特の鬼気だけは真似できない。圧倒的な力が、この部屋いっぱいに充満する。


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