恋人以上、永遠の主人

那月

文字の大きさ
上 下
155 / 268
ハーメルンのホラ吹き

6P

しおりを挟む

 あたし達は何事もなかったかのように、ってこともないけど。豊かすぎる胸を潰して呻いている女に向き直った。


「さて、お待たせ。自白すれば気持ち悪い思いをしなくて済むわよ?全部しゃべっちゃうか、マクベスに心の中隅々まで探られて暴露されるか選びなさい?」


「マクベス……へぇ、そう。あなた達が名高い永久の鬼追いなのねぇ。ふぅーん、背も高いし顔も綺麗。いいわぁ、あなたが今晩一緒に寝てくれるっていうんならしゃべってあげる」


「今晩?悪いけど俺、いつもナツメと一緒に寝てるから。充電しなきゃいけないし」


「いつも、充電って。あなた達ってすでにそぉいう関係なのねぇ。残念だわぁ……っ!?」


 苦しそうながら口元に笑みを浮かべてネチッこくしゃべる女は、マクベスを見上げて舌なめずりをした。とんだエロ女ね。


 危なかったわねお兄ちゃん。ナンパしてリードしているつもりでも、実は女の術中にはまって戻れなくなるところだったわよ。あたし達に感謝なさい。


 今にも蛇みたいに舌が伸びてマクベスの足に巻き付きそう、な感じ。だけどマクベスのピュアなノロケ言葉にキョトンと笑みが崩れ、艶やかな溜め息を吐いた。


 本当のこと言っちゃったわよ、マクベス。ティンさんも「本当なの?」って驚いた顔を向けるのヤメテ。


 自白しそうにないし、あたしが「お願い」って囁くとマクベスは左手で女の頭をつかんだ。わしづかみ。目を閉じて意識を集中して、記憶を読み取り心の中を探る。


 ふとした時に悟られたり、今何を考えているのかぐらいを悟られるのはほとんど負担にはならない。


 でも、こうしてガッツリさぐられるとものすっごく気持ち悪いのよ。頭の中をグルグルかき回されるみたいで吐きそうになるくらい。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

(完結)獅子姫の婿殿

七辻ゆゆ
ファンタジー
ドラゴンのいる辺境グランノットに、王と踊り子の間に生まれた王子リエレは婿としてやってきた。 歓迎されるはずもないと思っていたが、獅子姫ヴェネッダは大変に好意的、素直、あけっぴろげ、それはそれで思惑のあるリエレは困ってしまう。 「初めまして、婿殿。……うん? いや、ちょっと待って。話には聞いていたがとんでもなく美形だな」 「……お初にお目にかかる」  唖然としていたリエレがどうにか挨拶すると、彼女は大きく口を開いて笑った。 「皆、見てくれ! 私の夫はなんと美しいのだろう!」

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

没落貴族なのに領地改革が止まらない~前世の知識で成り上がる俺のスローライフ~

昼から山猫
ファンタジー
ある朝、社会人だった西条タカトは、目が覚めると異世界の没落貴族になっていた。 与えられたのは荒れ果てた田舎の領地と、絶望寸前の領民たち。 タカトは逃げることも考えたが、前世の日本で培った知識を活かすことで領地を立て直せるかもしれない、と決意を固める。 灌漑設備を整え、農作物の改良や簡易的な建築技術を導入するうちに、領地は少しずつ活気を取り戻していく。 しかし、繁栄を快く思わない周囲の貴族や、謎の魔物たちの存在がタカトの行く手を阻む。 さらに、この世界に転生した裏には思わぬ秘密が隠されているようで……。 仲間との出会いと共に、領地は発展を続け、タカトにとっての“新たな故郷”へと変わっていく。 スローライフを望みながらも、いつしか彼はこの世界の未来をも左右する存在となっていく。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

世界一の怪力男 彼は最強を名乗る種族に果たし状を出しました

EAD
ファンタジー
世界一の怪力モンスターと言われた格闘家ラングストン、彼は無敗のまま格闘人生を終え老衰で亡くなった。 気がつき目を覚ますとそこは異世界、ラングストンは1人の成人したばかりの少年となり転生した。 ラングストンの前の世界での怪力スキルは何故か最初から使えるので、ラングストンはとある学園に希望して入学する。 そこは色々な種族がいて、戦いに自信のある戦士達がいる学園であり、ラングストンは自らの力がこの世界にも通用するのかを確かめたくなり、果たし状を出したのであった。 ラングストンが果たし状を出したのは、生徒会長、副会長、書記などといった実力のある美女達である、果たしてラングストンの運命はいかに…

彩鬼万華鏡奇譚 天の足夜のきせきがたり

響 蒼華
キャラ文芸
元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。 紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。 手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙しく過ごす日々、ある時あやめは一つの万華鏡を見つける。 持ち主を失ってから色を無くした、何も映さない万華鏡。 その日から、月の美しい夜に玄鳥は物語をあやめに聞かせるようになる。 彩の名を持つ鬼と人との不思議な恋物語、それが語られる度に万華鏡は色を取り戻していき……。 過去と現在とが触れあい絡めとりながら、全ては一つへと収束していく――。 ※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。 イラスト:Suico 様

処理中です...