恋人以上、永遠の主人

那月

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ハーメルンのホラ吹き

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 いえ、立っているわ。手で傷口を押さえて、真っ青な顔にいくつもの汗の粒を浮かべながら彼は笑った。


「残念、だよ。こんな美人、を……殺さなきゃいけないなんて、ね……!」


「キャッ……ギャァァァアアァァアアァァァァッ!!」


 お兄ちゃんの体からゴオッと風が発生して、赤い血に濡れるナイフを投げ捨てた女に襲いかかる。


 ただの風じゃない。彼女の体をとらえた竜巻は刃となり、何度も斬りつける。いい加減露出が多いのに徐々にスーツが破れていき、きわどいところが見えそうになる。


 なんて甘いものじゃないわ。深く斬れたところからは血が噴き出し、竜巻は赤い鎌鼬へと変貌した。


 キレてるわ、お兄ちゃん。ナンパとはいえ男心をもてあそんだ怒りで痛みも無視してる。普段女心をもてあそんでるのに、理不尽だわ。


「はい、そこまで。それ以上は死んでしまう。あとは俺に任せて、セイさんは病院へ直行な」


 ピタッと赤い鎌鼬が止んで、血だらけの女はティンさんに拘束される。うつぶせに組み敷いて両手を踏み、後頭部に銃口を突きつけてるティンさんが格好良すぎ。


 お兄ちゃんを止めたのは、背後から手を伸ばして鼻と口を塞いじゃったマクベス。呼吸できないから。


 しかも振り向かれる前に首の後ろを叩いて気絶させたわ。手際良すぎ。え、あたし?特別な人に連絡してるところよ。


 とても珍しい魔法が使える人。便利すぎて24時間365日引っ張りだこ状態、止まれば死んじゃうんじゃない?ってくらいの。どんな人って?会えばわかるわ。


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