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迫りくる氷山
9P
しおりを挟む「うむ……ここか。すぐにでも強襲をかけたいところだが、敵は小童子だけではないからな。幻術使いの女と、人間の姿をした男の鬼が2体か」
看護師から借りた地図を広げ、アジトらしきビルの場所を指さすアキラさんは渋い顔。
小童子と他の子供と見分ける方法はアレでいい。古い文献を熟読しているティンさんが電話で効果を裏付けてくれたわ。
なぜが自発的に協力している人間の幻術使いの女性は、幻術をかけられる前に封じるか幻術をすぐに解ける対策を練っておけばいい。
問題は、高知能の鬼だということ以外何もわかっていない、正体不明の鬼が2体いるっていうこと。
一丁前に顎に手を当てて考え込んでいるラファルガ君。ビルにいた時の、女性と男鬼2体の特徴を思い出しているんだけど……
色んなショックが大きすぎてあんまり覚えていないみたい。ただ、女性の胸が大きかったことはしっかり覚えていたわ。
ショックに負けないくらい強烈な印象の胸って、どんだけ大きいのよ。ラファルガ君、耳まで真っ赤になって「ご、ごめんなさい」って顔を伏せちゃった。
無理に思い出そうとすればフラッシュバックで頭が痛むようなので、残念だけど自然に思い出してくれるのを待つことにした。まさにその時、病室のドアが開け放たれた。
ノックも声掛けも全くなくいきなりよ?どんな常識知らずよ?ってドアの向こうに立っている人を睨み付けてやったわ。
「くっそが……マジで瞬間移動、使えればいいのに……」
最恐の呪詛のごとく小さく呟いて歩み寄ってきた彼女は、いつもとはちょっと様子が違う。ボッチで、肩にハトを乗せてないわね。
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