恋人以上、永遠の主人

迫りくる氷山

３P

　それに少年は持っていた。友達が誕生日プレゼントに両親からもらったという、大層大事そうにしていた腕時計を。


　小童子のことは知らなかったけれど、鬼死団としての勘で少年が怪しいとふんで接触をはかる。


　夕方まで一緒に遊んだあと、別れを告げて家に帰るふりをして引き返し少年の後をつける。この時までに他の、アキラさんなんかに連絡を入れていればよかったわね。


　少年は色んな場所を通った。街の中、路地裏、大きな道路を横切って、どんどん突き進んでいくのに誰も、少年が見えていないみたいに脇をすり抜けた。


　やがて完全に日も暮れて人気のないところまで来ると少年は立ち止まり「だぁーるまさんがぁ、こぉーろんだぁっ」と振り返った。


　突然のことにラファルガ君は隠れることができず、とっさに大きく飛び下がって身構える。


　不気味にニヤァっと笑った少年はラファルガ君を指さすと「らはるがくん、うごいちゃったぁっ」と愉しそうにケタケタ大笑い。


　瞬間、ラファルガ君の視界は闇に覆われ意識を失った。次に目を覚ますと冷たい檻の中だった。


　頑丈で大きな檻の中には誘拐された子供達が集められ、中には探していたラファルガ君の友達もいた。友達はラファルガ君を心配そうに見つめて溜め息を吐いた。


　絶望のまなざしを外に向け「鬼死団のお前も捕まっちまったのかよ」と。


　そうね。ラファルガ君は１０歳の子供でも、立派な鬼死団の一員なんだもの。たとえ、その場所を知るためにわざと捕まったんだと言っても友達の瞳から絶望の色は消えない。