恋人以上、永遠の主人

那月

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動いた山は氷山の一角に過ぎない

16P

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 結局あたし達、戦鬼には勝てなかったのよね。とどめを刺したのは前の鬼死団長達だし。


 とにかく、ここ数年で有り得ないことや不可解なことばかり起こっている。人類の歴史に幕が下ろされるようなレベル。


 あたし達が勝てない鬼まで出てしまったら本当に、人類は滅亡へ一直線。


「人為的、ね。鬼達に“意志”を感じるの。大型鬼のことも小童子のことも、裏で糸を引いている黒幕の存在があるんじゃないかって思うわ」


「俺も、ナツメと同意見だよ。とても偶然だとは思えない」


「…………そうか。なら、情報収集にもっと力を入れなければならないな。ユエを“解放”しよう」


「「“解放”?」」


 ラファルガ君の手を握っていた手を懐に突っ込み、ケータイを取り出すアキラさん。ユエさんに電話してるみたい。


 一旦病室から出て話をしていたから、どんな会話をしていたのかはわからなかった。でも、とても真剣に鬼死団長として団員のユエさんに命令を下していたみたい。


 戻ってきた彼の顔がキリリッと引き締まっていたから。何かを決意したような、逞しく頼もしい姿。


「ユエが使役しているハトは実は数百羽いるんだ。もしもの時のために、情報収集のエキスパートばかりの精鋭部隊だ」


「初耳よ。でも、そんな数のハトをいっぺんにコントロールできるの?」


「できる。あいつはいつもはあぁだが、千近くのハトを全部飛ばしても全てのハトの感覚を共有できる。そういう体質というか、魔法らしい」


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