恋人以上、永遠の主人

動いた山は氷山の一角に過ぎない

５P

　だって初耳だもの。マクベスがそんな術を使えるのも、そもそも晴明様が使えるっていうことも初めて聞いたわ！あとで問い詰めてやる。


　ラファルガ君は鬼死団だけど、非番の日は学校に行ったり友達と遊んだりする。普通の、１０歳の人間の男の子。


　この前の非番の日に仲が良い友達数人と遊ぶ約束をしていたんだけど、その日はメンバーが１人多かったんだって。


　近々引っ越してくる隣町の男の子らしいけど、知能障害なのか言葉を上手く話せない。しかも時々、衝動的に手足をつかんできたり抱き着いてきたりして変だった。


　その日は結局サッカーをして遊んでサヨナラしたんだけど、その２日後にメンバーの１人が失踪。


　いち早く気づいたラファルガ君は男の子の小童子を街で偶然見つけ、そのまま「また一緒に遊ぼう」と声をかけた。


　マクベスが知っているのはここまで。偶然触れた時に読み取ってしまったんだって。ラファルガ君はマクベスに打ち明け、上手くいくまで他言無用を約束させた。


　人間のように知能が高い、人間の姿をした鬼がいるかもしれない。それが、ラファルガ君が失踪する前に残した言葉。


「あいつ、もしもマクベスさんが気づかなかったら１人でやり通すつもりだったのか。クソッ、馬鹿者が……っ」


　本当よね。いくらどこに鬼が紛れ込んでいるかわからないからって、全部１人で調べるなんて。鬼の巣窟に飛び込むなんて。


　でも、ならどうしてラファルガ君は知能の高い人間の姿をした鬼がいるかもしれないって思ったんだろ？ただの可能性、ってことはないでしょうね。