恋人以上、永遠の主人

戦友は一時休戦、家族団らん

１７P

　目の前に、プルンッと揺れる乳白色。フルーツとスプーンを添えて。リリちゃんの視界に突然割り込んできたそれを押し付けると、ユエさんは彼女が持っていた食器を奪って去っていく。


「甘くないわよ？お砂糖も入っていないって言ってたし、これくらいじゃ太らないわ。食べてもいいのよ、リリちゃん」


　持ち上げれば手が震えて、プリンもプルプル。あぁ、そんなに近くで見つめて。本当にヨダレを垂らしちゃいそう。


　最後のひと押し、口の端にプリンをつけたティンさんが「食べてもいいの」って微笑んで背中を押してやっと、リリちゃんはスプーンを持って豆乳プリンを食べた。口に入れて、停止。しばらく、１０秒くらいかしら？


　リリちゃんのほっぺたが落ちた、もちろん比喩。顔の周りがお花畑、もちろん比喩。


　たいそう幸せそうにニッコニコ。何度も「おいひぃれふぅ」と笑って、パクパク食べ進めていく。一口食べるごとに頬に手を当てて感動しちゃって、やだ、見てるこっちまで幸せになっちゃう。


　リリちゃんが甘いものを我慢してるって、買い物の時に言っていたのを覚えてたんだ。


　自由奔放でお金と爆弾と研究が大好きなだけだと思ったのに。優しくて、仲間思い。ううん、家族思いなのね。遊び心を忘れないのは、さすがユエさん。


　子供みたいで、大人びていて、将来はいいお母さんになりそう。お父さんにもよるでしょうけど、ユエさんの子供って怖いもの見たさっていうか。ううん、すごく楽しみね。