恋人以上、永遠の主人

戦友は一時休戦、家族団らん

１５P

　もうお鍋も終わりになる寸前なのに、空腹を訴えるカレスのお腹。全員が口をポカーン、青ざめる中、ユエさんが鍋つゆだけになったお鍋の中を確認して立ち上がった。


「んじゃ、シメのおじやじゃっじゃー。しばし待たれよ。カレスが大食らいなのは……ちょっと、予想を超えられたけど計算済み。おじや用のご飯は別に炊いておいた、ボクって気が利くねっ！はい、ボーナス増し増しーっ」


　戸棚の奥に隠すようにしていた、大量の冷ご飯を抱えてユエさんが戻ってきたわ。頼まれて、あたしが半分ずつそれぞれのお鍋に入れて再び火にかける。


　その間にユエさんが刻んだネギと卵を持ってきて、お鍋の中のご飯がいい具合に煮えてきたら刻んだネギと溶いた卵を入れる。ネギと卵を入れてからふたを閉じるまでが早かった。


　出来上がるまでにもう１回、カレスのお腹が急かすような鳴き声を上げて。出来上がったら出来上がったで、これまたてんこ盛りにお椀に入れて。


　まぁ、簡単に予想できると思うけど。空腹のあまり大きな一口で、火傷したわ。自分で、治癒魔法で治すカレスが、不思議で面白い。


　リゾットでもパスタでもラーメンでもうどんでもない、シメはおじや一択になるべく計算された鍋つゆ。それは一言でいえば、優しい味。味が薄いんじゃなくて、つゆに味もしっかりするけど素材の良さも引き出す、ユエさんの隠している性格みたい。


　皆で笑って、それぞれまたおしゃべりしながらおじやを食べる。かなり満腹だったんだけど、美味しくてペロッと食べちゃった。


　でもまさか、まだあるなんて。