恋人以上、永遠の主人

戦友は一時休戦、家族団らん

６P

「作った人の優しさを感じる、そんな優しい味だ。さすが、ナツメだな。……え、味付けはユエさん？あっえぇと、へぇ、意外だな………………鍋の底に爆弾とかないよね？」


　あるわけないでしょ。あったらすでに爆発、皆の頑張りが粉々になってるわよ。でも、やりかねない人だから火を入れる前に確認したわ。


　優しさ、かぁ。そうね。ユエさんって意味不明だし適当だしお金と実験と爆弾が大好きでよくわからない人だけど。きっと、すっごく優しいんだと思う。


　仕込みをする時だって、面倒くさいながらも手伝ってくれたんだし。包丁の使い方をわかりやすく教えてくれた。


　唐揚げの大皿を挟んではす向かいに座っているユエさんに鍋つゆの作り方を教えてもらおう――教えてくれないでしょうけど――としたら、暴言。


「ヘタクソ。もはや芸術。あ、芸術の秋？秋、秋、アッキー、アッキー？そういえばアイツ…………まぁいいや。団長、唐揚げのおかわりいるよね？入れる入れる、じゃんじゃん入れてやるるるるー」


「ん、頼む、って待てっ！それは鍋の椀だ！？ちょ、まっ……あーっ！！い、入れやがった……」


「唐揚げは美味しい。お鍋も美味しい。なら、両方足したらもっと美味しい。でっしょでしょー？唐揚げの新しい食べ方、大発見ってねぇー」


　ユエさんがお鍋の中からネギを取ろうと持ち上げたら、切りきれていなくていくつか絶妙につながっていて。仕方なく全部自分のお椀に入れて。


　お椀の中で白蛇みたいにとぐろを巻くネギを見てニヤつくユエさんが、何かを思い出して。この席にいないアイツなんだろうけど。どうでもいいみたいにせせら笑い。