恋人以上、永遠の主人

那月

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ナツメと安倍晴明

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 あたしはね、永遠の鬼追いになった時に生まれ変わったの。死んだ晴明様の魂の欠片を核に作られた“永久の鬼追いのナツメ”なの。


 彼が死ぬまではただの“安倍晴明の式神のナツメ”だったけど、呪をかけられてからは変わった。あたしの胸、心の奥には晴明様の魂の欠片がある。


 晴明様の術が多少使えるのも、彼の魂が核になっているから。彼が死んでからあたしがより一層人間らしくなったのも、彼の魂の欠片のおかげ。


 その事実を、マクベスは見抜いていた。目で追いすぎて気づいてしまった。黙って受け入れていた。


「でも、今夜は我慢しなさい。眠いもの」


「えぇー、そうなる?」


「そうなるの。大丈夫よ。次の“充電”の時はちゃんとあたしを“充電”させてあげるわ。何よその目は?目が覚めて眠れない?そんなの知らないわよ」


「うわ、酷い扱い。主導権はナツメが握っているんだね。はいはい、頑張って寝るよ。寝られなかったら朝、君を“充電”させ――嘘だよ嘘、ごめんごめん。おやすみ」


 そっと抱きしめ返すと、マクベスの体がビクンッと震えた。理性が飛びそうになった?しーらない。フフッ。


 受け入れるわよ。残酷な宿命もマクベスも、あたし自身も。今までは何となく生きてきたようなものだったわ。事実と向き合うのって、やっぱり辛いわね。


 晴明様が言わんとしていたことがよくわかったわ。あたしはあたしに、嘘を吐いていたんだから。


 あたしとマクベスの絆はより一層強くなったのかしら?新しい技が使えるようになったりして。って、ゲームじゃないんだから有り得ないわね。


 見ていなさい、晴明様。あたし達はもっともっと強くなってみせるわ。


「おやすみ。また、明日からもよろしくね、マクベス」



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