恋人以上、永遠の主人

那月

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ナツメと安倍晴明

14P

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 もう抵抗はしない。彼を押し潰してしまわないよう隣に向き合うように横になって、大人しく抱きしめられる。


 マクベスがいつもあたしを“充電”する本当の理由って、そうだったのね。やっとわかってあげられたわ。


 ずっと背を向け続けてきて知らなかった、マクベスのこと。まだ、全部は知らないけれど。マクベスが、あたしが晴明様を愛し続けることを受け入れてくれるなら。あたしも、マクベスをちゃんと知りたい。


「起きたら話しをしましょ。あたしが大好きな晴明様のこと、いーっぱい話してあげる。だからマクベスも教えて、あなたが好きな“ナツメ”のことを」


「ん、ちょっと妬けるなぁ。でも楽しみにしているよ。それにしても、この状況、ナツメは危機感がないのかな?」


 少し目を開けたマクベスは「クスッ」と笑い、あたしの腰に腕を回した。ちゃんとわかってるわよ、あたしを見くびらないでちょうだい。


「そんなつもりなんてないくせに」


「そうかなぁ?体は正直なんだよ。今も、素直で可愛いナツメを組み敷いて本能のままメチャクチャにしたいって思ってる俺がいる。でも我慢するよ」


「あたしに嫌われたくないからでしょ?まぁたしかに……素晴らしく正直な部分はあるみたいだけど」


「あっはっはっはっはっ……いいよ。生殺しでも、それでいいって俺が決めたんだから。そうしても我慢できなくなったらその時は、君から精一杯離れて熱が冷めるのを待つよ」


 愛する人が同じ布団の自分の腕の中にいて、でも手が出せないのって辛いわよね。


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