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主人マクベス
7P
しおりを挟む「……おはようマクベス。これ以上グジグジ言うんなら1発殴るわよ」
しばらくして。落ち着いてきた彼はグッタリとあたしにもたれかかって深く長い溜息を吐いた。充電したくせに、寝る前より疲れてない?
「おは、よ。殴らないで、ごめん。ちょっと、いつにも増して嫌な夢だった。弱いな、俺……」
「そうね。だからあたしがいるんでしょ?弱いマクベスの根性を叩き直して、陰ながら支えるためにあたしがいる」
「ははっ、そう言ってもらえると心強いよ。ナツメは…………え。ち、血がっ……ごめん、力入れ過ぎた!背中を掻き毟って、こんなに血が出て痛いだろうに」
自分の指先が赤く染まっているのに気づいたマクベスはバッとあたしを離して肩を震わせる。そう、彼は悪夢にうなされている間、無意識にあたしの背中に爪を立てていたの。
背中を血が垂れる感じはしないから、そこまで出血はしてないんだと思う。でも彼は、たとえ無意識といえどもあたしを傷つけたことに恐怖し傷つく。
弱いのよ。優しすぎるから。それがあたしをイライラさせる。
「あーあ、血が染み込んじゃったら汚れが落ちないし、服も破れちゃってもう着れないわね。着替えてくるわ。チャチャッとご飯作るから、そこで反省して待ってなさい」
「ナ、ナツメ……」
強いのよ。酷いことができる、言えるくらいあたしは強いの。あたしはそういうものだから。
立ち上がり、ニコリともせずに背を向けたあたしは自分の部屋に行って着替えた。傷は大したことない、もうじき塞がってしまう。
でも背中の面が破れて赤く染まった服は捨てるしかない。脱いで、ゴミ袋に突っ込む。はぁ、お気に入りだったのに。
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