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永久の鬼追い
8P
しおりを挟む赤い餓鬼の返り血が顔にもついている。素早く、たくさん動き回ってたくさん倒した。まだ小さな子供なのに、戦場で生き生きしているなんて。複雑よね。
「お疲れ。俺の強さの半分はナツメの力だし、俺1人じゃあ後ろを見られないしからナツメ様様だよ。それに大丈夫、ラファルガ君もとびきり強くて逞しいよ。動きは俺よりも速いしね」
「う、後ろは見えないのが普通だと……で、でも、そう言ってもらえてうれしいです!ありがとうございます!」
あたしもそう思うわ。マクベスは背後も見えない自分なんてって低く見てるけど、背後なんて見えないのが当然でしょ。ひきつった笑顔のラファルガ君が複雑そう。
って、あれ?褒められて照れているラファルガ君が頭をかいている、その上げられた腕が赤く見える。
「あ、腕が切れて火傷になってる。あの新種の餓鬼に引っかかれたんでしょ。応急処置してあげるから、動かないでよね」
「すっ、すみません。ナツメさんのお手を煩わせるなんて……痛っ」
ケガをしているのも気づいてなかったみたい。いつの間にって顔をして、なぜか直立不動の状態であたしの処置を受けているわ。
いつも持ち歩いている綺麗な手ぬぐいを割いて、傷口をしっかり縛ってすぐに医務室へ行くよう勧める。
もう1度「ありがとうございました!」と深々頭を下げたラファルガ君は、元気に走って医務室へ直行。
本当は治癒の魔法とかが使えればいいのに。あたしにも、そしてマクベスにも魔法を使うすべはない。その代わりに持っている、唯一無二の特別な力。
彼があたし達を呼んだのが早かったから、軽い怪我をした人が数人だけで済んだみたい。もちろんマクベスはかすり傷どころか、赤餓鬼に触れられてもないわ。
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