恋人以上、永遠の主人

プロローグ

２P

　時の流れと発展ってすごいわよね。いくらあたし達が特別だからって、昔は刀で戦うくらいしかできなかったのに。今じゃ文明の進化で魔法なんてものが使えるようになっちゃったんだから。


　それに、昔と違って鬼と向き合う人が増えた。武器を手に、あたし達と一緒に戦ってくれる人達が増えたの。


　平安時代、鬼が出たら直接出向いて退治する討伐部隊か。晴明様のように強力な陰陽の呪術に長けた陰陽師に頼りっきりだった。どっちも、数えるほどしかいないから大変だったわ。


　でも現代。鬼のせん滅を掲げる専門の組織ができて、名を連ねる人は数えきれない。先祖代々、鬼を討伐する一族だからだとか。家族を鬼に殺されたからとか。色んな人がいる。


　あたし達は特別だから。そりゃあ、死んでもすぐ生まれ変わるあたし達のことを“バケモノ”呼ばわりして気味悪がる人達もいたわ。


　でも今のこの時代は、違う。特別なあたし達のことを文献で残していたらしい先人達のおかげで、あたし達がこの時代に生まれた時から手を差し伸べてくれる人がいたんだもの。


　ちょっとした時差はあったものの、今のあたし達は彼らと共に鬼を討つ。


　目標は鬼のせん滅、完全な滅び。それがあたし達が晴明様に命じられた使命。終わらせないと、あたし達に終はない。


　死んでも生まれ変わる。それも毎回、前世の記憶を持って生まれてくるのよ。おかげで最初に生まれてから千年分以上の記憶があるわ。晴明様から、鬼を討つためにかけられた呪の一部。