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ユキ・シオン
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しおりを挟む秋には、ばっちゃんの知り合いの農家さんから毎年もらうサツマイモや栗、アケビ。それから松茸までもらって、ばっちゃんが作る炊き込みご飯が美味しかった。
白いキツネが庭に迷い込んできたこともあったなぁ。サイズ、全然違うのにばっちゃんが俺と間違ってすぐ逃げたけど。ばっちゃん、目が悪かったからなぁ。
冬には庭に雪が積もった。俺が雪で遊んでいたらばっちゃん、俺が真っ白だからどこにいるのかわからないって笑ってたなぁ。
手を真っ赤にしながら、小さな雪だるまを作って。俺が見つけてきた小さな赤い実や木の枝で飾って。翌朝には溶けちまったけど。
寒さが酷い時は2人でコタツの中にずーっといて、1日中テレビを見てるって日もあった。ばっちゃん、寒いからってトイレに行く時に俺を抱いて連れて行く時があったんだよなぁ。俺は湯たんぽじゃねぇよ。
ばっちゃんと一緒に過ごした思い出が詰まっている。もう、懐かしいなぁ。
「あの柿の木の柿、落ちてるやつを1つ拝借すれば種をうちの庭に植えられるんじゃないか?思い出の柿の木だし、上手く育てば食えるし」
運転席で思い出に浸っていると、悠一がそんなことを言いだした。
「桃栗三年柿八年。苗木ならともかく、種からじゃあ大きくなるまでに時間がかかるだろ。いいって。思い出は、思い出のままで、さ」
「……そうか。いや、俺もあの柿を食ってみたいなってちょっと思って。シオンの思い出を、俺も感じてみたいというかな」
「俺の思い出は俺の思い出だ。悠一にはやらねぇよ。クスクスッ」
愛する恋人でもさ、俺とばっちゃんの大事な思い出は独り占めしたい。それで怒るような悠一じゃねぇし、俺の気持ちをわかってくれて「そうかそうか」と苦笑。
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