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初めまして、人間です
8P
しおりを挟むけど、不審なことが多すぎる。悠一が言うように2階建ての一軒家に1人で住んでいるとか、わずかでも擬人化種の血が混じっているからってやたら蹴り技が強かったり。
ソランさんにカッターで立ち向かった時の恐怖のなさ。それから、たまに見せる人を寄せ付けない雰囲気と怖い顔。
世間一般の、17歳の人間の男の子ではまず有り得ない。ちょうど、悠一の甥っ子と同い年らしいけどさ。生意気だが、もうちょっと子供らしいんだってよ。
その、子供らしさが笑也には、ない。
「わかった。俺も気になるし、何かわかったら教えてくれ」
俺はエンジンをかけて、悠一にうなずいた。不審なことが多すぎる笑也に、大事な親友である直也を預けちまった。
笑也がただ、擬人化種に理解のある人間だから。俺の友達だからって理由で。俺、笑也のことを考えてみたらさ、知らないことがたくさんあるのにな。
「そう暗い顔をするな。きっと良い意味で化学反応でも起こって、直也と仲良くなる。シオン以上に直也は笑也を、笑也は直也を深く知ることができる。ポジティブにいこう」
「あー、悠一に言われるなんてな。けどまぁ、そうだな。2人を信じる。俺の信じる力、届けーっ、なんてな。クスクスッ」
笑也の家を出てすぐの信号に捕まって、悠一が頭をポンポンッと撫でてくれた。そうだ、俺の信じる力は悠一の心を奪う力よりも強いんだ。
念力を送るみたいに両手を前に突き出すと信号が青に変わって、慌ててハンドルを握る。悠一が笑って、俺もなんだか気が楽になってつられて笑った。
今頃直也、どうしてんだろうな。とりあえず今夜は疲れてるだろうから、明日にでも電話してやろう。
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