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夜、甘えたい
2P
しおりを挟むシオンの体から発せられる甘い匂いが、ムアッと熱波のように襲いかかる。恥ずかしいのか、湯気が見えるくらいに顔が真っ赤で額には玉のような汗。
顔だけじゃない。パジャマがはだけて、胸も腹も赤く上気している。密着している肌から感じるシオンの体温は焼けるように熱いし、伝わってくる鼓動はやたら早い。
もしかして。俺はシオンの肩を両手でつかみ、無理矢理引き剥がした。
「んえっ?ゆ、悠一、急に何――」
「それはこっちのセリフ。やけに積極的だと思ったんだよ。シオン、お前熱があるぞ。それもかなり高い。お前の言うとおり、大学は休みだ」
ベッドに押し付けるように押し倒し、俺はベッドから降りる。まるで「いかないで」とでも言うように熱を持った手が追いかけてきたが、つかんで、布団の中に戻す。
「体温計とヒエピタン持ってくるから、大人しくしてなさい。いいね?」
頬を撫でてやれば、うなずきながらスリスリ。熱で目が虚ろ、トロンとしていて呼吸も荒くなってきている。これは、まだまだ熱が上がりそうだな。
一旦部屋を出て、水分補給用にお茶と体温計とヒエピタンを手に戻ってくる。するとシオンは寒気に襲われているのか頭まで布団の中。
優しく声をかけて、手を突っ込んで体温計を脇に挟ませる。布団の中が熱い。額の汗を拭いてからヒエピタンを貼ると、一瞬ビクッとしたがすぐに「はぁ、きもちぃ」と笑みが浮かんだ。
気持ち悪くはないか?頭痛は?腹は?ベッドの脇に座って、汗で濡れた前髪を避けてやりながら問いかける。
するとシオンは「大丈夫。でも、体が痛ぇよ。重くて、動かせねぇ」と力なく、悔しそうに笑う。ちょうど体温計が鳴って、取り出せば38度7分。
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