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苦くて儚い
12P
しおりを挟む1年のブランクのせいでわからねぇよな。釈放されて家にいる間は穴を埋めるように勉強していたけどさ。俺達に反抗して、ほとんど家にいなかったから。
やがて探していたページを見つけたのかノートと前を見比べて「あぁ、なるほどね」と、自分のノートに書き写していく。その下に、今の講義の内容を関連付けて。
チラッと覗いてみたら、これは参考書か?と思えるくらい要点を的確にとらえてなおかつわかりやすくまとめられている。
あと、すごく綺麗な字。美麗というか、大きさもバランスも。あと、図形も。何だよ、完璧か。
「おっと。シオン君、近いよぉ?クスクスッ。そういう油断してると、また僕に捕まっちゃうよ。こんな風にね」
お互いのノートを覗き込んで、コツンッと頭が当たった。
当たったのは偶然らしい。本当に集中していて、当たった時にビクッってなってた。当たったのと、直也がビクついたのに俺もビックリした。
ビックリして目が合った。俺の頬にスルリ、手の平を滑らせる直也。悪い笑み。黒くて、赤い笑み。
赤い笑みじゃあ俺は動じないぜ。頬に手を当てた、親指が俺の唇に触れると周りがザワついた。そりゃあ、見つめ合ってこんなことしてりゃあ目を引く。
目を引きすぎて先生を大噴火させねぇようにな。俺は直也に手を伸ばす。両手。頬に触れた。
「頬を撫でても、俺はゴロゴロ擦りつけたりしねぇから。俺は直也を信じているけどさ、甘いだけじゃない。怒る時は怒るぜ。なめんなよ?」
舐めると思ったのか?直也の親指を軽く噛んで、触れた両手で頬をつねってやった。
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