ユキ・シオン

苦くて儚い

８P

　先に大学に着いてから、自分を見る目が変わって居心地が悪かっただろうに。俺の隣にいて、少しでもそれが楽になればいいのに。


「直也、バイク通学だったんだな？」


「え？あぁ、そうだよ。彼女をよく乗せていたんだけど、言ってなかったっけ？」


　聞いてねぇよ。その彼女も、今回のことがあって別れたんだろ？家族、恋人、友達も全て失った。でも俺がいる、悠一がいる。


　支えになりたい。直也は大学を卒業したらどうしたいとか、考えてんのか？俺はまだ、何もわからねぇ。


　擬人化してから色んな擬人化種に会った。皆大人で、それぞれの仕事を全うしていて。その姿を見て俺は、自分の可能性を広げたいって思った。


　実際に色んな仕事をやってみて、自分に合った仕事を続けたい。あぁでも、笑也のような作家は向いてないだろうな。


　あ、笑也といえば。


「なぁなぁ直也。今度、あんたに紹介したい人がいるんだけど。心配すんなって。普通……普通？の、人間の男の子。１７歳で、作家をしてんだよ」


「１７歳で作家？学校は？というか、僕と名前が似てるし。シオン君の友達なら、きっと個性的なんだろうね」


　どういう意味だよ？だが、食いついてきた。「人間」って言ったら興味を持ったらしい。年下だし、似た名前だし？まぁ、個性的っていうのは合っているな。


　軽く笑也のことを話すと、直也は「やっぱり個性的な予感がするよ」と苦笑。引きこもりっぽいのは伝えた。腐男子で書いている小説がＢＬ１８禁なのは言ってない。


　会ってくれるって言ってくれた。正直、何かしらの用事を作って断ると思っていたから拍子抜け。しかも、いつでもいいって。