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drug of love
8P
しおりを挟む瞳に光はなく、口からは言葉にならない求める声とだらしなくよだれが垂れ。伸ばされた手が俺を捕まえれば、求愛するように体を擦りつけ俺の体から発せられるフェロモンを嗅いで悦んでいた。
俺の衣服を剥ぎ、自分の素肌と触れさせる。自分が1番濃密に、深く触れようと他の者を押しのけ。押しのけられても怒りはせずただただ、光のない目は俺だけを映す。
オスもメスも関係ない。力に飲まれた全てが俺を求め、縋り、ひれ伏す。異様で、おぞましい。
「っ、はぁ……く……っ」
今でも忘れられない、あのカオスな光景。声、音、匂い、あの時の感覚がよみがえってきた。あぁ、気持ちが悪い。
口と腹を押さえ、かがむ。目の前のドアを開けて数歩進めば、ベッドで横になれる。愛するシオンを腕に抱いて、大好きな匂いを肺いっぱいに吸い込んで。
現実の幸せで、過去を忘れられるのにな。
1番近くで、爆発した力の衝撃波を受けた千川原が。思い出せば全てにモザイクと「ピー」をつけたくなるくらい悲惨だった彼の有様を思い出して、頭がガンガンする。
薬を間違えて事故を起こした元凶であり、1番の被害者。そんなあいつが心と自由を取り戻せたのは、そのあと本気で俺に恋心を抱いたからかもしれない。
あの時の重傷の被害者の中には、心を失ったまま命を落とした者もいる。心を病んだり感情を欠落したまま生きている者もいる。
もしも直也が、このまま薬を飲みながら一緒に暮らして完治したら。飲んでいる薬を完全なものにしてくれたら。
あとは、俺がもっと完璧に力のコントロールができるようにならなければならない。生まれ持った力を消すことができないのなら、力の持ち主としてせめて。
怪力さえロクに管理もできないのにな。シオンは「悠一ならできる、絶対に」と、信じ続けてくれている。
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