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涙
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しおりを挟む「そうですね。でも、それでよかった。あぁ……苦しい、な。諦めていますよ。あなたと彼は、吐き気がするほど甘くお似合いで。いちいちイチャついてイライラするけど。諦めてはいても、彼を好きな気持ちだけはどうしても……なくならない。それが、僕は……っ」
シオンお手製のおにぎりの効果か?急に直也が、それこそ気持ちが悪いくらいに正直に話し始めた。
それどころか、声を詰まらせてうつむく。「悔しい」と涙を流しながら、それでもおにぎりを食うって。空腹のせいじゃない。シオンが、直也のために作ったおにぎりだから。
だがそろそろ……あぁ、満腹すぎて気持ち悪くなったな。直也の顔ほどあった巨大なおにぎりは、残り3分の1ないくらいになって「ごちそうさま」になった。
ド深夜によく食ったな。渋々ラップで包んでソファーの前のテーブルに置いた直也は、まだこぼれる涙を拭ってお茶を飲む。
一息ついて呼吸を落ち着かせ、また飲む。深く息を吐くとまた感極まって涙を流し、俺は震える肩を抱いた。
「うぅ、あなたなんか大嫌いだ、っ……はぁっ……うっ」
言葉は拒絶しても、直也は俺を拒まない。身をゆだねて、ただ涙を流す。1番憎くて大嫌いな俺だからこそ、やっと本当の自分を見せられた。
俺は直也を受け入れ、ただ黙って優しく抱きしめて、頭を撫でる。こんなの、シオンに見られたらヤバいな。でもわかってくれる。
やっと直也の手を取ることができたんだ。明日の朝からは3人での食卓だ、献立を考えるのが楽しくなるな?
ずっと頑張っていた意地っ張りは終わったな、お疲れ。明日になったらシオンにも優しくしてやりなさい?1度だけなら、シオンを抱きしめるのを許可する。
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