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涙
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しおりを挟む胃に何も入っていないから痛むんだな。体をくの字に曲げて、俺を拒絶しようと開いた口からは「痛い」と本音がポロリ。本人、超ビックリ。
「まぁもう少し待ちなさい。とりあえずだが胃に入れておけ。非常食で、どっかの誰かさんの昼飯だ」
戸棚を漁って非常食として置いていた、日持ちのするウインダーインゼリー。アレが温まるまでの腹の足しにしてくれ。
差し出せば受け取って、未開封なのと消費期限を確かめてからヂュルンッ!と一気飲み。まさかの一気飲み。
「…………ありがとうございます。って、何をニヤニヤしてるんですか気持ち悪い」
「一言多いぞ。全く、お前ってやつはそこまで自分を追い込んで。いい加減、意地を張るのはやめろ。どうあがいても、お前は絶対にシオンには勝てねぇから」
「勝ち負けなんかない、もう勝負はしてない。……はぁ。こんなことになるなら、シオン君が先生と出会う前にさらっておくべきだった。猫だとか擬人化種だとか関係ない、ただ……」
疲れたんだな。ペッタンコになったウインダーインゼリーの容器をパタパタしながら、直也は遠くを見つめる。
シオンと俺が出会い、恋人になったのは運命だと思う。だがもしも俺と出会わなかったら?シオンの隣にいるはきっと俺じゃなく、直也。
「なぁ直也。お前さ、シオンに初めて手を出したのはただの遊びか?本当は違うんじゃないか?」
そう言って俺はレンジの前へ。残りの10秒をカウントダウンし、中のものを取り出してお茶と一緒に戻る。直也の隣に腰を下ろせば、もちろん直也は距離を取った。
端っこに座り直した直也の手に、ラップでぐるぐる巻きのそれを持たせる。超ズッシリ。
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