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涙
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しおりを挟む「あ、待って。ついでにご飯のスイッチ入れといてよ。ふたを閉めて、炊飯って書いてあるボタンを押すだけだからな」
「はいはい、それくらいなら俺でもでき…………なぁ、なんかいつもより多くないか?直也の分が増えるにしても、倍以上あるような……」
どうやれば綺麗にたためるのだろうと、キッチンを出ようとしたら呼び止められた。鶏肉を切るのに必死で両手が塞がっているシオンの代わりに炊飯器の前に立つ。
ふたが開いた炊飯器の中には、絶賛給水中の真っ白な米と水。もち麦入りか。健康志向。というかたぶん、もち麦のモチモチ触感にハマってんだろうな。
不器用な俺でもさすがに、ふたを閉めてボタンを押すくらいはできる。だが米の量がやたら多い。
多めに炊いて、1合ずつ冷凍保存か?さすが主婦。主夫?とりあえず、言われた通りにふたを閉めて炊飯のスイッチを押した。
「ん?いいんだよ、これも直也のためだからな。サンキュー」
な、なんかシオンがニヤついているんだが。あの顔は、何か企んでいるな。一体、直也に何をするつもりなんだ?
聞いても教えてくれないだろう。調理に必死だし、答えてくれてもきっと「内緒」って可愛らしく、悪戯っぽく笑うんだろうな。
……ちょっと、チクッと嫉妬心が。シオンがこんなにも直也のことを考えているのが、いただけないな。あぁだめだ。
俺は直也のことが嫌いでも、シオンの背中を押すって決めたんだよ。それに個人的にも、直也には自由になってほしい。見守るのも、年上の大事な仕事。
俺は「綺麗にたためたらご褒美、よろしく」と声をかけてからキッチンを出た。ご褒美があればやる気が出るってものだろ?楽しみだな。
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