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譲渡会
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しおりを挟むまた大学に行ける。何があってもずっと親友だ。それが、直也も嬉しいんだと思った。けど、本当は違うのかもしれない。大学は諦めて就職。1人きりになったなりに暮らそうと考えていた?
直也が言うように、犯罪に手を染めた相手がたまたま俺、擬人化種だったからややこしくなった。
擬人化種の存在を認めても、直也は関わりたくない。元々の原因が自分であっても、余計なことでこれ以上自分の人生から自由を奪われたくない。
そう、感じる。両親から解放された今でも、直也は全く自由じゃねぇ。
今、直也は何を望んでいる?聞くのが怖い。「今さら過ぎるでしょ。僕が死にたいって言ったら、お優しいシオン君は殺してくれるの?」って、力なく笑う直也が想像できて。
俺は直也のことを信じているし親友だと思っている。だからこそ、直也のためにって思う。けどそれが直也を苦しめているんなら。……俺、間違ってんのか。
「ごめん。直也の言ってることはうなずけるし、香さんに相談してみる。あの人、結構難しいんだけどさ。直也の自由のために説得してみるから。でも…………本音、言ってもらえてよかった」
気づいたら俺、部屋の外に出ていた。
「今日の晩飯は親子丼だから。もちろん俺が今から作る。まぁ、できるまで横になるなりくつろいでな」
逃げちまった。無理矢理笑って手を振って、早足にキッチンへ。苦しい。胸の奥が、ズキズキ痛くて呼吸が辛い。
情けないな。絶対、直也にもバレてんだろ。エプロンをつけて手を洗って、玉ねぎと鶏肉と卵を出して親子丼の準備を始める。
晩飯にはまだ早い。米すら手付かず。玉ねぎを切る。あぁ、一発目でツンときた。目が染みる。
包丁を入れるたびに目が染みて涙が出る。ズビズビ、鼻水まで。歯を食いしばって、とにかく切る。ポタポタッ、ポタポタッ。
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