ユキ・シオン

譲渡会

８P

「１度捕まって怖気づいた？この首輪が怖いから、自分の本当の幸せを求めるのを諦めたってことだ？」


「いや？香さんは僕達擬人化種を、君みたいに擬人化種と親交を深めようとする人間は決して殺さない。この首輪も、多少キツめの麻酔が出たり若干意識が飛ぶ電流が流れるくらいだな。僕はネコヤンさんをずっと好きでいるけど、この２人を引き離しはしない」


「い、今何て？危険極まりない首輪だなぁ。いや、だから何でっ――」


「そう決めたんだよ。君も、この２人を見ていたらわかるだろ？大丈夫。轟木君は若いしイケメンだから、すぐに恋人もできる。僕、応援してるから」


　直也とソランさんって、似てるもんな。さっきソランさんが言ったみたいにさ、やってきたことも同じだし。その結果、物騒な首輪をつけられて。


　ヤバくなったら電流と麻酔って、体の自由を奪うにはいいけどさ。効き過ぎたら直也、死んじまうだろ。


　直也は人間だ。擬人化種であるソランさんのナウの行動が察知できても、人間の直也のナウは香さんには察知できない。それを理解しているから、直也は提案を持ちかけた。


　似た者同士、好きな人を奪い今度こそ手に入れる作戦を。けどソランさんを監視しているのは香さんだけじゃねぇ。ドクトルがいる。勝ち目はないから乗らなかった。


　だけじゃねぇんだな。ソランさんの、赤と紫のオッドアイを見ればわかる。


　悠一のことを好きな気持ちはなくならねぇ。でも、俺達の仲を裂こうとは思わない。俺達がどれだけラブラブで、絆が強いかを思い知ったから。だから、守ってくれた。


　直也から俺達を。それから、俺達から直也を。ちゃんとわかってんだよ、ソランさんは。