ユキ・シオン

さがしています

６P

　深刻な顔で溜め息を吐く店長。飼い主の男は、もしもまだ２匹がどこかでさまよっているのなら引き取りたい。そして謝りたい。
 

　もしもすでに誰かが引き取っていて新しい家族ができているのであれば。２匹と再会し、謝ってから２匹に自分のところに戻ってくるか今の暮らしのままでいるのかを判断してもらいたい。

 
　そう最後に言い残して店を出たらしい。普通の犬なら、それでいいだろうな。

 
　だが、相手は擬人化種だ。駿は人間の言葉がしゃべれる。飼い主の男がずっと一生懸命に探していると知ったら、再会を望むのか？

 
　答えは、駿の想いは人間の言葉になってハッキリわかってしまう。
 

　再会を望んだら、駿はウィペット犬のポチとして会うのか？それとも、これが現実だと駿の姿で向き合う？

 
　俺も悠一も、事故マニアに遭遇したことはあるが擬人化した姿はまだ見たことがない。あぁ、ドクトルが、お気に入りのオモチャを取られないように囲っているみたいだな。

 
「事故マニアの被害者だったし、あたしは入院してた時に会ったわ。駿君、体は大きいのにとても気が弱くて。いっつもドクトルにしがみついているの。どこに行くにしてもすぐ後ろをついて行くわ」


「子ガモか」

 
「犬よ。今は香さんの指示で怪我を治しながら、一緒に暮らしているんだけど。２人に伝える前にあんた達に話せてよかったわ」


　俺達としては、本人に話してみないとわからないんじゃないか？ってことしか言えねぇな。