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奪う
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しおりを挟むいちいちセリフが中二病チック。さすが小説家。なんて適当にあしらって、到着。あ、緋桜さんの車がある。
自転車を脇にとめて、玄関に立ちインターホンを押そうとしたら「ま、待って」の声。笑也が、俺の服の裾を引っ張った。
「し、市役所の何倍も緊張する。俺、緋桜さんに酷いこと言ったし。もう1人は市長さんだろ?お、俺、超売れっ子でイケイケな天才小説家でもただの人間だしっ」
「怖いのか?なら、自転車に乗って帰れよ。ここでそんなに腰が引けてんなら、あんたは次の場所に連れて行くわけにいかねぇ。その代わり、俺を拾ったことも擬人化種について知ったことも全部、忘れろ」
「シオンさん……」
振り向くと、不安そうな顔を背け緊張に震えている弱い人間がいた。あえて何も突っ込んでやらねぇけどさ、そんなんじゃあ悠一を探せねぇ。足手まといにしかならねぇんだ。
だから、甘やかさずに現実を突きつける。生半可な気持ちで、悠一は探せねぇんだ。
垂れ下がった犬耳が見えるような、ショボンとした笑也の胸を押して、俺は再びインターホンに手を伸ばす。
ピン、ポーン。インターホンにかかっている指は、長い指。俺の、細くて白い女みたいな指じゃない。押したのは、笑也だった。
「じいちゃんが言ってたんだ。“どんな出会いでも運命なんだ。出会ったことには必ず意味がある。たとえ嫌いな人でも、無理に好きにならなくてもいいから受け入れて。怖がらないで”って。だから俺、正直緋桜さんのことは苦手だけど頑張るから」
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