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からみつく
4P
しおりを挟むビクンッ!と、悠一が大きく震えた。顔からどんどん血の気が引いて、額に冷や汗まで滲んでいる。
こんな悠一は初めてだ。それほど、ドアの向こうの男は悠一にとって恐ろしい存在。ドクトルが手回しをしてでも会わないようにしていた存在。
一体誰なんだよ?昔、何があったんだよ?
というか、なんでここに来た?頭がよさそうなドクトルなら、悠一に会わせないために時間のかかる仕事を押し付けていそうなのに。野放しかよ。
なんて返せばいい?俺は男を追い返す言葉を紡ごうと開けた口を閉じて、悠一を見つめる。「どうしよう」なんて、情けない言葉が出た。
馬鹿か。悠一を守るって言ったばかりなのに、頼ってどうする?でも男はここに悠一がいるって確信しているんだし。いないって言っても、信じて諦めてくれるかどうか。
キレて、ドアを蹴破ってきたらどうする?俺は悠一みたいに怪力じゃねぇし、むしろ非力だが。それでも、守る。
「久しぶり、ネコヤンさん。ドクトルから新しい恋人ができたって聞いたけど、まさかそこにいる白猫の子だなんてね。今度は本命?数年ぶりだしさ、色々話とかしたいな」
「っ…………千川原。…………あぁ、俺はシオンを愛しているし、シオンも俺を愛してくれている。運命だと思っている。祝ってくれるか?」
キスをしてみた。もう見ていられなくて。飛びつく勢いで悠一の首に両腕を回すと一気に引き寄せて、唇を押し付ける。
すると悠一の目が俺の方を向いて、いきなりのキスにかなり驚きながらも離しペロッと俺の唇を舐める。
震えが止まった。ちゃんと呼吸をして、顔には赤みが戻ってきて。大きく息を吸った悠一は、ゆっくりと息を吐く。やがて「ありがとう」と俺の頭を撫で、ドアに目を向けたんだ。
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