ユキ・シオン

寿司パーティーと侵略者

８Ｐ

　指を根元まで食ってるよ、香さん。楽しそうだな。飲み込んでも、今度は口を開けて俺達に見えるように緋桜さんの指をベロンッと舐めた。


　これには店長も絶句。あぁ、完全に酔いがさめてるな。かわいそうに。


「もーーーーーーーーーぉ、嫌っ！！あんた達なんか大っ嫌い！そういうのはお開きにしてからにしてよぉっ。あたしも彼氏が欲しいっ！！」


　香さんはいなり寿司をモグモグしながらの緋桜さんに睨まれながら、悠一は俺に脇腹をつねられて大爆笑。勘弁してやれよ。店長、彼氏いなくて処女こじらせてんだから。


　香さん、適当に誰か良さそうな人を紹介してやってください。なんなら人間でも大丈夫だと思います。むしろ誰でもいいと思います。それはさすがに失礼か。


　店長は俺に飲ませるつもりだったもう１本のレモンチューハイを煽って、唐揚げを口に放り込む。あ、幸せそう。泣いてるけど。


　そろそろ離してもらおうと思って、悶絶している悠一を見上げたその時。ゾクゾクッと悪寒が走った。


　何？すごく気持ち悪くて嫌な感じがして、悠一の胸にしがみつく。すると他の３人も異変に気付いた。バッと一斉に窓の外を睨みつける。


「香さん、今すぐミキちゃんを呼んでください。まだ署にいると思うんで。シオン、俺から離れないで。危険だから」


「香さん、下がって。俺がやります」


「あたしを守ってくれる人はいないのっ！？」


　悠一は俺を隠すように抱きしめ、香さんは――ニッと笑って――スマホを取り出し、緋桜さんは香さんを背中に隠して警戒態勢。