ユキ・シオン

烏合の衆

８Ｐ

　あ、微笑んだ。なんだ、怖い人かと思ったら意外と優しそうじゃん。お堅い口調かと思えば微妙にスカスカだし。


　え、イヌワシ？あぁなるほど。たしかに、切れ長の赤い目は鋭くて猛禽類っぽい。なんか、格好良いなぁ。……ま、まぁ、１番格好いいのは悠一だけどな！


　って誰に言ってんだか。真藤緋桜さんか。真藤って、香さんのご家族さんってことか？


「緋桜はわしの家族じゃよ。人間としては親戚として、真藤の姓を与えておる。それに……ほれ、おぬしらと同じじゃよ。本当の意味でも、家族になったんじゃ」


「えぇー、そっちもくっついちゃったの！？じゃああたしだけぼっちじゃない。あーあ、ヤケ酒しようかしら」


「私の車は香さん専用なので。酔い潰れても乗せませんから。どうぞお１人で、タクシーで帰ってください。思いがけない出会いがあるかもしれないッスよ？」


　俺の心の中を読んだのか？オフ状態の香さんがニヤッと笑って、緋桜さんの腕に抱き着いた。えぇ、マジか！？


　いや、それでも緋桜さんが無表情を決め込んで無反応。香さんが怒ってキスを迫ろうとして、「我慢してください。帰ったらいくらでもしてあげますから」と唇をつまんだ。


　俺だけか？見せつけられているような気がするのは。「んんーっ！」とバタついている香さんに優しい微笑みを向けて、俺達には鋭い目。あー……


　５人中、２カップル。しかも同性。紅一点なのに店長だけおひとり様。ドンマイ。


　女性の割にはそこそこ背も高いし細身で、綺麗な店長。可愛いところもあるのに、なんで彼氏ができないのかが不思議なんだが。その性格のせいか？