ユキ・シオン

烏合の衆

３Ｐ

　鍋の中で大量に煮込んでいるものの味見をしていると背後に気配を感じて、目も向けずに言い放つ。効果は抜群。


　台拭きを持って、悠一は渋々テーブルへ。心苦しいが、仕方ない。呼んでいる来客の中には１人、とんでもない大食らいがいるんだからな。


　弱々しい返事だけで何も言えないで、シュンとうなだれる悠一が可愛い。俺の、言葉の矢が何本も刺さった悠一にチラッと目を向けていると、味見したのに味がわからなかった。


　もう１度。うん、なかなかに美味いんじゃないか？初めて作るけど、食べてもらう人のことを考えて作るのは楽しいな。


　それが２０個程度なら全然良かったのに。中の具はゴマだけとして、とりあえず１００個は頑張る。


　この前食ったのを真似て作ってはいるが、果たしてあの人の口に合うかどうか。ま、合わなければ悠一にでもくれてやろう。


　火を止めて、冷えるのを待つ。チラッと目を向けると、悠一はまだ念入りにテーブルをふきふき。


　ふーん。もう十分拭いたけど、台所には俺がいるから台拭きを洗いに来れないから隅々まで拭いて俺の様子をうかがっていると。


　ふーん。ジィー……あ、目が合った。反らして、ボウルの中の大量のご飯と向き合う。しゃもじを突っ込んで、チラッ。あ、泣きそう？


　ふーん。ふーん？なんか面白いし、もうちょっといじめていようっと。あとどれくらい我慢できるんだろうなぁ？